キッチンカーで開業するときは保健所で営業許可をとるのがポイント

【はじめに】

 店舗を持って飲食店を営業する場合には営業許可が必要です。キッチンカーでの開業についても、流れは違いますが営業許可が必要になります。営業許可の概要や流れを把握し、事前に保健所へ相談することでスムーズに営業許可を取得することができます。ここでは、保健所での営業許可取得の流れやポイントについて説明します。

1. 保健所で営業許可を取得する流れ

 まず最初に、営業許可取得までの手続きの流れを確認します。

①保健所に事前の相談をする。

 営業許可の申請は、販売する地域を管理している保健所に行います。事前に、メニュー、出店場所、キッチンカーの設計図をもとに打ち合わせをします。保健所とは数回相談が必要になりますが、事前に話をしておくと開業準備がスムーズになります。

②申請書類に記入し、保健所に提出する。

 記入方法が不明な場合は、保健所の担当者に確認をします。営業許可は「飲食店営業」で取得します。

③キッチンカー完成後、チェックの日程調整を保健所とする。

④キッチンカーを保健所に持ち込みチェックを受ける。

 指摘があれば、改善をして、後日再度チェックを受けます。

⑤営業許可証の交付

 合格の場合、2週間ほどで許可証交付となります。

⑥営業許可証をキッチンカーの中に提示し、営業をスタートする。

 

2. 営業許可でチェックされる条件

 営業許可を取得する際にチェックされるポイントです。最低限必要な設備になります。

①運転席と調理場は完全に仕切られているか

②給水・排水の設置された容量は十分であるか

 2021年に食品衛生法が改訂され、給水・排水タンクの容量が40㍑程度、80㍑程度、200㍑程度の3種類に統一されています。タンクの大きさによって、メニュー数や調理工程に規定が設けられています。

③水道蛇口が非接触水道であるか

 蛇口の水栓を、手を綺麗に洗った後に蛇口に触れて水を止めないよう、ハンドル部分に触れずに止められる非接触水道にする必要があります。

④シンクの数と大きさ十分であるか

 シンクの数は地域によってルールが異なります。キッチンカーを製作する前に保健所に、シンクの数と大きさを確認しましょう。

⑤収納ケースや棚の設置は十分であるか

 収納ケースの棚には扉がしっかり付いていることがポイントになります。

⑥石鹸は常時、清潔さを保てる状態であるか

 食中毒の菌を発生させないために、手洗いや消毒できる場所と設備の確保は必須事項です。

⑦換気はしっかり考慮されているか

 換気扇がないキッチンカーは保健所の許可がおりません。換気扇をつけると空気が入る穴があるため、虫などが浸入しない工夫も必要です。

⑧冷蔵庫・冷凍庫の設置

 食材に保冷の必要がある場合、冷蔵庫・冷凍庫の設置は必要となります。また、走行中も電源を供給できる発電設備の用意も必要になります。

⑨ゴミ箱の設置

⑩仕込み場所

 車内での仕込み行為の範囲については、都道府県で違いがあるので、事前に保健所への確認が必要になります。

 

3. 食品衛生責任者の資格も必要

 忘れてはいけないのが食品衛生責任者の資格です。食品を扱う営業を行う場合、食品衛生上の管理運営を行うために、食品衛生管理者を置かなければなりません。これは、営業許可を受ける施設ごとに1名以上、おかなければならないと全国で決められています。キッチンカーでも食品を扱うため必要な資格になります。この資格は、保健所が実施する講習会を受講することで資格をとることができます。

4. 営業許可を取得する際に必要な書類等は

 営業許可申請時には、何種類かの書類を提出しなければなりません。保健所によって多少の違いはありますが、概ね下記の書類が必要です。

・営業許可申請書

・営業設備の大要、配置図

・仕込み場所の営業許可の写し

・営業の大要

・食品衛生責任者の資格を証明するもの

・許可申請手数料

・車検証のコピー

・仕込み場所の水質検査証明書

・検便検査成績書

5. まとめ

 キッチンカーの開業のポイントは営業許可を取得することです。最後に、簡単に申請の流れをまとめました。

①営業許可を取得するには、販売したい地域の保健所へ届け出が必要。

②事前に保健所の許可条件を確認しておくとスムーズに申請が進む。

③営業許可は、「飲食店営業」で取得する。

④食品衛生責任者の資格も必要

⑤営業許可取得までの手続きの流れの確認もする。

 営業許可の概要や流れを把握し、事前に保健所へ相談することでスムーズに営業許可を取ることができます。