契約書の作成は義務?トラブルになったときに役立つ契約書

1 はじめに

 私たちは、日常生活において、不動産のように大きな買い物をする場合や多額の金銭を貸す場合には契約書を作成します。これは、契約内容を書面に記録しておくことで、証拠として残すためです。ところで、契約書の作成は義務なのでしょうか?ここでは、契約書についての基本的な考え方について説明します。

2 口約束だけでも契約は成立してしまう 

 例えば、品物を購入したら店に代金を支払うという約束が発生しますが、このような約束は、法的には契約と扱われます。しかし、契約の成立には契約書に書かなくても、口約束で、一方からの申し込みを他方が承諾すれば成立します。

保証契約など、書面の交付が義務付けられているものもありますが、多くの契約は口頭で申込みが行われ、相手の承諾で成立しているのです。このように、契約では書面の作成は必須事項ではありません。 

 では、なぜ契約書を作成するのかというと、トラブルを防止するのと同時に、取引を円滑に遂行するために作成されます。あらかじめトラブルを想定した契約書が事前に作成されていれば、もし取引の過程で何か問題が起きても契約書の条項に従って処理すればよく、取引相手との円満な関係が維持できるからです。

3 契約書の正しい書き方

契約書の書き方のポイントは「契約書のタイトル」「前文」「本文」「後文」「契約日付」「署名捺印・記名捺印」をしっかりと記入することです。また、印紙が有無の確認も必要です。印紙税法第3条では、印紙税の納税義務者は「課税文書の作成者」となっています。 したがって、契約書を作成した側が負担することになります。また、重要な契約書の作成は相手側に任せるのではなく、自社でなるべく対応するのが望ましいです。

契約書を書く上で注意することは、言葉は省略しないで第三者にもわかりやすく記載することです。また、曖昧な解釈が成り立つ表現は避け、数量化が可能な事項は、可能な限り具体的に記載します。さらに、契約内容を当事者間で確認し合い、契約書の記載内容を明確にすることです。

4 契約書作成の基本姿勢

 最近の契約書は、自らの権利保全、責任軽減と限定を定めるものであり、法律や慣習にとらわれないで、当事者間で細部まで細かく取り決める傾向にあります。契約書作成の基本姿勢として、いかにして自分に有利な契約条件で妥結させるか、主導権を握るべく、こちらが作成するのが望ましいです。

その際、依頼者に利益をたらす、有利な条件にするためには、どのような条項を追加すればよいかを考える必要があります。また、相手の義務は、具体的な義務を明記し、義務を順守させるための制裁条項(損害賠償)を設けることが大切です。加えて、税務や登記がからむときは専門家の意見を求める必要があります。

契約書の代わりになるものとしては、覚書があります。覚書は、契約書の内容を補完し、修正点などを記載した文書のことです。契約書の代わりに覚書を用いて契約を締結することもできます。

5 まとめ 

法律上、契約書は必ずしも弁護士や行政書士に依頼して作成しなければならないという決まりはありません。 しかし、契約書をなぜ作成するのか、その目的を達成するために専門家である弁護士や行政書士に依頼したほうが効果を高めることができます。