在留期間は希望通りに決定される? 在留期間の決定基準とは

1. はじめに

在留資格を申請する外国人の多くは、「できるだけ長期の在留期間」を希望するのが一般的です。しかし現実には本人の希望より短い在留期間が指定されることも珍しくありません。ここでは、在留期間の決定基準や更新のタイミング等について説明します。

2. 在留資格によって違う在留期間

 在留期間は、就労ビザごとに次のようになっています。

在留資格在留期間
高度専門職1号5年
技術・人文知識・国際業務3カ月、1年、3年、5年
企業内転勤3カ月、1年、3年、5年
技能(料理人の場合)3カ月、1年、3年、5年
経営・管理1年・3年・5年・3カ月・4か月・6カ月
特定技能1号4か月・6カ月・1年
特定技能2号6カ月・1年・3年
技能実習1号1年以内で、法務大臣が個々に指定した期間
技能実習2号2年以内で、法務大臣が個々に指定した期間
技能実習3号2年以内で、法務大臣が個々に指定した期間

※特定技能ビザ

人手不足の特定産業12分野で外国人を雇用することができる就労ビザです。

特定技能1号は特定産業12分野での業務。特定技能2号は、建設と造船・舶用工業のみ

※技能実習ビザ

母国の経済発展のために、日本で働きながら技能・技術を習得してもらうことを目的とした在留資格です。 指定された職種・作業内容の実習を行うことができ、在留期間は通算で最長5年となります。

3. 在留期間を決定するのは「入管(出入国在留管理庁)」

在留期間を決定するのは「入管の裁量」です。このため同じような条件で申請したにもかかわらず、許可される在留期間が人によって違うことも決して珍しくありません。在留期間を決める基準は明示されていませんが、就労ビザの場合は主に「会社の規模や雇用契約の内容、その継続性・安定性、本人(外国人)の素行」などが考慮されるといわれています。

初回申請の場合は、多くの在留資格で在留期間「1年」と指定されることが多いようです。更新時はもう少し長くなるのが一般的ですが、活動実績があまり認められない人については、やはり「1年」になる傾向があるようです。

4. 長期の在留期間を獲得するためのポイント

在留期間は入管の裁量によって決まりますが、以下のようなポイントを考慮することで長期の在留期間を獲得しやすくなります。

①会社規模が大きい

大会社になるほど経営が安定するという考えから、雇用する会社の規模が重視されます。特に上場企業や保険会社、「直近年度の給与所得の源泉徴収額が1,000万円以上」の会社ほど有利です。規模が小さい、赤字を計上している等の場合には、事業計画書を作って継続性・安定性を説明する必要があります。

②長期の雇用契約

雇用契約に期限が設定されている場合、在留期間もそれに影響されます。たとえば1年の雇用契約なら、在留期間も1年以内になるといった具合です。できるだけ長い雇用契約を結ぶことが、長期の在留期間を獲得するポイントの一つといえるでしょう。

 ③十分な業務量

契約期間中に十分な業務量があると認められることも、長期の在留期間を獲得するうえで重要です。

 ④専門性の高い職務(高度専門職の在留資格)

他の人材では換えられないような高度な専門職に就く場合、認められる在留期間も長くなる可能性があります。学歴やスキルが高く、それに見合った職務を提供されている人ほど有利というわけです。

 ⑤素行が善良

主に更新申請の際に考慮される要素ですが、「在留中に犯罪行為にかかわっていない、違反行為をしていない」ことも重要です。

 ⑥納税や届出の義務を守っている

所得がある以上、外国人にも納税の義務があります。社会保険の加入も義務づけられていますし、引っ越しや転職などをした際は期限内に届出をしなければなりません。こうした義務をきちんと履行しているかどうかも、在留資格の更新時に考慮されます。

4. ビザの在留期間と更新時期は 

就労ビザの在留期間より長く日本で働きたい場合、在留期間が満了する前に更新手続をします。これを「在留期間更新許可申請」といいます。このタイミングは、「在留期間満了の3ヵ月前から(在留期間が6カ月以上の場合)」です。入院や長期海外出張など特別な事情がある場合は、3カ月以上前でも申請することができます。なお有効期間の満了直前に申請すると、満了日までに更新許可が下りないことも少なくありません。このような場合は満了日から2ヵ月間、特例として在留が認められます。

5. まとめ

ここでは就労ビザの「在留期間」をテーマに説明しました。在留資格ごとの在留期間の違いや長期の在留期間を獲得するポイントなどについて、参考にしていただければ幸いです。