補助金の活用を考えている方へ。採択されるための事業計画書の作り方とは?

【はじめに】

ものづくり補助金の申請において、事業計画書の作成には最も時間がかかり最も重要です。ものづくり補助金の採択・不採択は、形式的な要件充足は当然として、実質的には事業計画書の内容次第で決まります。審査で評価されるためには、審査項目を踏まえ、必要な項目を漏らさず、具体的に書くことがポイントになります。

1. 事業計画書作成のポイント

①審査項目に沿った記述にする

 まずは、審査項目に沿って必要な項目を漏れなく記述することです。ものづくり補助金では、公募要領に審査項目が明確に記述されており、特に「技術面」「事業化面」「政策面」の3つが重要です。

②的確な項目と見出しを設定する

 実質的な審査対象となる事業内容は、具体的な記載項目は定められていません。したがって、項目と見出しは自ら設定しなければなりません。審査項目に示されている内容を網羅するように設定することです。

③重要な点は具体的に書く

 重要な点は具体的に書くことで計画の信憑性が高まります。応募要領にも、具体化して記載して下さいと、繰り返し書かれています。

 ▲例

 性能がかなり良い → 既存製品と比較して最高出力が1.5倍である

④事実やデータに基づいた客観的記述が評価される

 計画の具体性に加えて、事実やデータ、第三者の評価等に基づいた客観的記述が評価されます。第三者の公平で冷静な評価で計画書の信頼性は高まります。 

⑤数値計画の内訳・根拠を示す

 事業計画では、売上高、営業利益、付加価値などの数値計画を入力します。これらの数値計画の詳細な根拠は、電子申請の補足資料として添付しますが、ここでは数字だけでなく、内訳や根拠を示すことがポイントになります。

⑥読み手にわかりやすく書くコツとは

 審査員は事業計画書を読むのには慣れていますが、個々の事業の専門家ではありません。したがって、わかりやすく書くことが大切です。わかりやすく書くコツをまとめると以下のようになります。

・内容を具体的に示し、適切な見出しをつける

・回りくどい表現は避け、短く簡潔な文章にする

・先に結論を示し、その後に理由を説明する

・数字や固有名詞を使って具体的に書く

・データや文章などの引用は出所を明示する

・文章だけでなく、図表や写真、イラスト、箇条書き等を用いる

・専門用語は避け、使う場合には説明をつける

 

2. 審査項目の確認と理解

 審査項目として公募要領に書かれているのは次の5項目です。

・補助対象事業としての適格性

・技術面

・事業化面

・政策面

・加点項目

 このうち、適格性については、補助対象事業としての要件を満たしていない場合は、それだけで不採択となるので注意が必要です。

 また、審査における加点項目として、経営革新計画などの法律認定の取得や一定以上の賃上げに取り組むことなどが定められています。

 そして、技術面、事業化面、政策面の3項目では、実現性・革新性・収益性等が評価されます。

3. 事業計画書作成の手順

①事業構想を具体化して資料を収集する

 対象事業の構想を具体化し、一連の流れをストーリーとして作りあげます。それと並行しながら、市場規模や顧客ニーズに関する資料なども収集します。

②見出し作成と本文作成をする

 応募要領に従い見出しとして何を記載するか、何をどのような順番で記載するかを決めます。見出しが決まれば、それに沿って本文を記載していきます。

③図表を作成する

 文章の説明だけでわかりにくい点は、図や表、写真、イラストなどを使って説明します。また、Excelなどの表計算ソフトで損益計算表の書式を作成しておくことも必要です。

④再構築をして入力する

 全体を見直しながら、微調整を加えて、事業計画書本文の記載と入力を行います。

 

4. まとめ

 補助金が採択された後も、交付を受けるまでには、いくつかの段階があります。期限が遅れたり、漏れたりしないように、事前に準備しておかなければなりません。また、不採択となった場合でも、冷静に事業計画の見直しを行うなどして、次回公募での再申請を検討していくことです。