技術・人文知識・国際業務の在留資格を得るためには?ポイント解説
1. はじめに
就労系在留資格においては、技能実習が最も多く約35万人、次いで多いのが技術・人文知識・国際業務の34万人である。以前は、「技術」と「人文知識・国際業務」が別の在留資格でしたが、時代の多様化に併せて平成26年に統合されました。ここでは、この在留資格取得のポイントを説明します。
2. 在留資格該当性(申請人の行う活動の定義)
入管法別表第1では、技術・人文知識・国際業務の活動は次のように定義されています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は、外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動。 |
理学、工学の自然科学の分野、若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する業務なので、いわゆるホワイトカラーの頭脳労働でないと「技術・人文知識・国際業務の在留資格」は許可されません。また、外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務とは具体的には、通訳、翻訳、語学の指導、広報、宣伝または海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発などの業務が該当します。
3. 基準適合性(申請人がいずれも適合しているか)
(1)申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合、次のいずれかに該当すること。
①当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
②当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了したこと。
③10年以上の実務経験を有すること。
(2)申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合、次のいずれにも該当していること。
①翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又はまたは海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発など、これらに類似する業務に従事すること。
②3年以上の実務経験を有すること。
(3)日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上報酬を受けること。
4. 事例の紹介
①事業に必要な営業許可を取得していない
業務量の拡大にともない、人員の補給が必要となり、外国から貿易実務者を採用しようと申請したが、古物商許可を取得していなかったため認定不交付となった。
②過去の申請との整合性が合わない
前回の申請者の認定申請の際に、本国の会社の従業員名簿を提出していましたが、今回の申請人の名前が記載されていなかったため認定申請不交付となりました。
③提出書類に疑義があると判断される
中古自動車を取り扱っている貿易会社が、添付したインボイスのフォントが違っていたために提出書類に疑義があるとして認定申請不交付となりました。
5. まとめ
技術・人文知識・国際業務の在留資格認定について、最近の携行としては、会社にとって必要な業務量に見合った人材を必要な人数に応じて許可している傾向が見られます。この在留資格を有していながら、単純労働をしている人がいるため。厳格かつ適正な在留状況を確認する必要があるからだと思われます。