企業で就労する外国人が在留資格を得るための要件とは
1. はじめに
外国人が在留資格を得るための要件は在留資格の種類ごとに異なります。ここでは外国人の方々が企業等で就労するために必要な「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「技能」等の在留資格に絞って説明します。
2. 在留資格を得るための4つの要件
(1)在留資格該当性
申請人がわが国において行うとする活動が、入管法別表において在留資格ごとに定められた活動に該当すること。
(2)基準適合性
申請人が基準省令ごとに在留資格ごとに定められた基準に適合すること。
(3)提出資料によって立証
上記の「在留資格該当性」「基準適合性」を提出資料によって立証すること
(4)犯罪歴などの特別な問題がないこと
3. 在留資格該当性とは
入管法の別表において在留資格ごとに、その在留資格で従事すべき活動が定められています。例えば「経営・管理」の在留資格は「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業者の管理に従事する活動」に従事するとされています。もし、申請人がこのような経営管理活動に従事していなければ「経営・管理」の在留資格を許可されることはありません。
4. 基準適合性とは
本来は、海外に居住する外国人が、来日して就労するために法務省令である基準省令に適合するか(在留資格認定証明証)判断するためのものです。ですが、在留資格を変更又は更新するときにも準用されます。この基準省令に適合しているか否かを確認し、適合性を立証することになります。
5. 提出資料によって立証とは
上記の在留資格該当性や基準適合性は、提出書類によって立証します。入管在留関係手続は書面審査が原則ですので、提出資料により立証しない場合は在留資格が許可されません。
大切なのは、書類リストに載っている書類を全部出せば許可されるわけではなく、在留資格該当性や基準適合性が認められることです。そのためには、提出する書類で在留資格該当性や基準適合性を証明する必要があります。
6. 犯罪歴などの特別な問題がないこと
もし、在留資格該当性や基準適合性を書面で立証できたとしても、申請人に重大な犯罪歴があるなど、特別な問題があれば、在留資格は許可されません。具体的には次のような事例が該当します。
①犯罪歴
〇「1年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。」
そもそも、犯罪歴がある場合は上陸拒否事由になり我が国に入国することさせできません。
〇「麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに・・・・違反して刑に処せられた者」
薬物関連の前科がある外国人は、何年経っても永久に日本には上陸できません。
②税金の滞納
重大な納税義務の未履行があると在留資格の変更や更新が認められないことがあります。
③納入義務がある健康保険等への未加入若しくは保険料等の未払い
特定技能の在留資格は所属機関が社会保険等の規定を遵守していなければ許可されませんし、永住許可申請においても社会保険や国民健康保険の未加入、未払いは厳しく審査されます。
④各種届出の未履行
活動機関に関する届出や契約機関に関する届出の未履行がこれに該当します。
⑤所属機関の経営難等
所属機関の財務内容が悪いと、経営の継続性・安定性が認められず不許可になることがあります。
⑥外国人採用の必要性が認められないこと
例えば、取引先にも従業員にも外国人がいないのに、申請人が通訳・翻訳業務に従事すると申請すれば、外国人採用の必要性が認められないとして不許可になります。
⑦申請内容に信憑性が認められないこと
申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽の場合は不許可になります。例えば、数年前に提出した履歴書や在職証明書と、今回の書類に矛盾がある場合等が該当します。
7. まとめ
今回は在留資格を得るために必要な4つの要件について説明しました。この他にも、それぞれの在留資格によって在留期間が決められていますし、在留資格もいろいろあります。次回は、それらについて説明します。