2023年の補助金の支援ポイントはどこ?さらに強化されていく新領域とは

1. はじめに

 ここ数年の補助金は、新型コロナウィルスの感染拡大や円安物価高騰などの影響を受けて、売上減少を余儀なくされた中小事業者に対し、その立て直しを支援したり、不安定な社会情勢への備え手助けする「守り」の要素が強いものでした。それに対して、2023年は「攻め」の要素が色濃く出ています。ここでは、今こそ知っておきたい2023年の補助金のポイントを説明します。

2. 支援ポイントは「インボイス制度」と「賃上げ」

 世の中の動きで見逃せないのは、間近に迫った「インボイス制度」の導入です。施行開始は今年の10月1日ですが、すでにIT導入補助金の「デジタル化基盤導入枠」、小規模事業者持続化補助金の「インボイス特例」などが設置されています。さらに、6月にはIT導入補助金で、インボイス対応に特化した申請類型が登場し、取引を行う相手事業者まで支援範囲が拡大されています。

 もう一つは、「賃上げ」への取組を強く支援する動きです。特に、ものづくり補助金や事業再構築補助金では、特定の申請枠にとどまらず、所定の賃上げ水準を満たした場合は各申請枠共通で補助額が上乗せたり、補助率が上がったりする策が取られています。そこには、給与アップ→補助金による設備投資支援→利益の増加→さらなる給与アップというように、厳しい事業環境をなんとか好転させたいとの意図が感じられます。

 このように、ポストコロナを含めて、「インボイス制度」「賃上げ」といった従来の定番的なポイントについては、引き続き支援がなされていくでしょう。

3. 支援がさらに強化されていく「新領域」は

 一方、新たなキーワードして挙げられるのが次の三点です。

〇日本経済の構造転換

〇グローバル展開

〇グリーン分野・GX

(1) 日本経済の構造転換

  事業再構築補助金では、日本経済の構造転換の促進を目的として次の事業者を重点的に支援します。

・国内市場の縮小等の産業構造の変化等により、事業再構築が強く求められる業種

・海外から国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靭化および産業の活性化に資する業種

ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金では、次のような方針が示されています。

・GX、DX等、成長分野への投資や賃上げ、海外展開を促進する。

・そのために、設備投資、IT導入、国内外の販路開拓、成長投資の加速化と事業環境変化への対応を支援する。

  ちなみに、GX(グリーン・トランスフォーメーション)とは、地球温暖化や環境破壊を引き起こす温室効果ガスの排出を削減し、経済社会システムの改革を行っていくことを言います。

4. まとめ

 今回の補助金に関する情報は、補助額や補助率の高い国が実施するものが中心でした。しかし、実際には、特定のフェイズにある企業を対象としたものから、その業種ならではのもの等、様々な補助金が存在します。かなりポイントを絞ったものも多く、事業者によってはそちらの方が受給しやすいケースもあります。ただし、膨大な数の中から自社に合った補助金を見つけ出すのは簡単なことではありません。自分に合った情報を確実にキャッチアップすることが重要なポイントになります。

 補助金はもらうことが目的ではありません。初めから補助金を当てにするのではなく、どうしても必要なことに使うお金が「戻ってくるならありがたい」というスタンスで、申請を検討することです。