補助金の活用を考えている方へ、ものづくり補助金のしくみとは?

【はじめに】

 「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下、ものづくり補助金)」は国の代表的な補助金の一つです。補助金をもらうためには、補助金にふさわしい事業者として選ばれる必要があります。そのためには、補助金のしくみをよく理解して、詳細な事業計画書を作成しなければなりません。ここでは、補助金のしくみについて詳しく解説します。

1. ものづくり補助金のしくみ

①目的と特色は

  ものづくり補助金は、これまでの実績として毎年度約1,000億円の予算措置をして、全国で約1万件が採択されています。この補助金の目的は、「中小企業者が行う、革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善のための設備投資等の支援」を掲げています。

 機械装置費を中心とした設備投資の支援が中心なので、製造業向きではありますが、商業やサービス業も対象に含まれ、ソフトウェアの導入やIT系の流通・サービス業も対象になっています。

②補助対象者と補助率は 

 ものづくり補助金の補助対象者は、「日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者」が中心になります。中小企業者の要件については、公募要領で詳細を確認する必要があります。

 ものづくり補助金は、「一般型」と「グローバル展開型」2類型がありますが、ここでは、一般型の補助率について触れておきます。一般型の補助金は100万円~1,000万円、補助率は原則1/2ですが、従業員数の少ない小規模事業者に該当する場合は2/3になります。

2. ものづくり補助金の公募実施状況は

①公募の時期とスケジュール

 ものづくり補助金の公募は、令和2年からは通年で行われており、約3カ月のサイクルで申請締切、審査、採択発表が行われており、具体例は以下のようになっています。

・2/22           公募開始

・4/15~5/13       申請受付 

・6月中          採択通知

・7月中          交付申請・交付決定

・決定後10カ月以内    補助事業開始

・補助事業後1ヵ月程度   補助金の請求・支払い

②採択件数と採択率は

 ものづくり補助金は、主には、事業計画の内容に対する審査で採択か不採択が決まります。採択率は、概ね40%前後と半数以上が不採択となっており、楽観視できないものとなっています。ただし、不採択の場合でも、すぐに再応募が可能であり、採択される機会は多い補助金です。

③採択後の流れも重要      

 ものづくり補助金は、交付決定日以降に事業を開始することができ、交付決定日以前に設備の購入契約や支払いを行うと補助金の対象外になってしまいます。また、補助金に対する対象経費も細かく定められているので、補助事業の手引きに沿って正確に行う必要があります。また、補助経費に関わる見積書、請求書、検収書、領収書等はその都度整理しておかなければなりません。

3. ものづくり補助金の申請の準備

①申請目的を明確にする

 補助金申請の目的は、新たに行う事業に必要な資金の一部を返済不要の公的資金で賄うことが申請の目的です。そのため、補助金の獲得自体が目的ではなく、事業の成功が本来の目的なので、補助金なしでも新事業を実施する覚悟が必要です。

②ものづくり補助金向きの事業とは

 ものづくり補助金向きの事業は、次の要件を満たしていることを意味しています。

・ものづくり補助金の要件を満たしやすい

・ものづくり補助金の審査上で評価されやすい

・ものづくり補助金採択の金額的メリットが大きい

③公募にはGビズIDの取得が必要

 ものづくり補助金は、電子システムで応募しますが、そのシステムにログインするためには、GビズIDサイトにて、GビズIDプライムの取得をしなければなりません。GビズIDとは、1つのID・パスワードで様々な行政サービスに ログインできるサービスです。

4. 情報収集の方法

①情報収集のポイント

 ものづくり補助金は、補正予算に基づいて各年度の公募が行われてきました。2月に補正予算が成立し、3月に1次公募が開始されます。補助金事務局のサイトを常に確認して申請準備を進めることです。また、過去の採択事例を閲覧することや直前公募での採択実績の確認も大切なことです。

②WEBサイトからの情報

 ものづくり補助金に関する基本的な情報収集にはインターネットの活用が必須になります。特に、補助金についての公式情報は、中小企業庁や補助金事務局のWEBサイトから入手するのが正確です。

③支援機関からの情報収集

 ものづくり補助金を申請する際には、認定支援機関を活用することも有効な方法です。認定支援機関には、各地の商工団体(商工会、商工会議所等)・税理士・公認会計士・中小企業診断士・地域金融機関等があります。

5. まとめ

 補助金の公募に必要なことは、全て「公募要領」に書かれています。また、新たに「電子システム操作マニュアル」も制定されていますので、申請する際には、これらを熟読する必要があります。公募要領には、専門用語も数多く使われていますので、それらの意味もあらかじめ理解しておくと良いです。