まるわかり! 補助金とは? 助成金とは?

【はじめに】

 人・物・金、これは事業経営に欠かせない3要素ですが、補助金は主に事業経営に係るもの、助成金は人に係るものです。補助金・助成金それぞれの特徴を理解することは、採択・受給の第一歩になります。ここでは、補助金・助成金とはいったい何であるかについて説明します。

1. 補助金と助成金の違い① 「補助金には審査がある」

補助金・助成金は、国等からもらえる「返済不要のお金」です。しかし、この二つが決定的に違うところは、助成金は「要件」に合致すればもらえますが、補助金は「審査」に合格しないともらえないという点です。

たとえば、持続化給付金は助成金の一つですが、売上がコロナ前と比べて50%以上減少しており、かつ、資本金10億円以下の法人であれば200万円がもらえます。要件に合致していれば必ずもらえるのが助成金です。

一方で、補助金には審査があります。例えば、「ものづくり補助金」であれば、業種により要件が異なりますが、その要件に合致していても補助金はもらえません。それぞれの補助金の「付加価値の向上を通じて地域社会に貢献する計画であること」といった趣旨に合致しななければなりません。

2. 補助金と助成金の違い② 「お金の使い道が違う」

 助成金は、そのお金を何に使っても良いのですが、補助金は違います。助成金はもらったお金を家賃の支払いに使っても、貯金しても構いませんが、補助金は申請書に記載した投資にしか使えません。

 補助金の目的は、事業者の投資を促進することです。助成金と違い、何に使うか明記した計画書を作り、審査に合格し、さらに計画通りの支出をしたとき、はじめて補助金がもらえます。また、支出をした全額がもらえるわけではなく、上限や補助率が決まっています。このように、補助金は助成金よりハードルも高く制限も多くなっています。

3.  補助金と助成金の違い③ 「出所が違う」

 補助金、助成金と名のつくものは、2,000~3,000種類あると言われますが、国・地方自治体・財団など様々なものがあります。一般的に、補助金は経済産業省のものが、助成金は厚生労働省のものがよく活用されています。補助金の財源は主に税金、助成金の財源は雇用保険料です。つまり、元々は会社や事業主が自分で負担したお金です。

国には施策があり、その目標を達成するために、会社や事業所に対して、資金の後押しをする目的で補助金や助成金の制度が設けられています。

4. 補助金の方が助成金より高額

 補助金・助成金は、創業・起業時の費用、新たなWEBサイトや販促チラシの費用、展示会出展、研究開発、ITツール、社員の教育訓練や研修制度、社員のキャリアアップなど、申請できる条件やもらえる時期、金額等もさまざまです。金額も一般的に補助金の方が助成金より高額で数千万円もらえるものもあります。

5. 後払い制で自己負担が先

 通常、補助金・助成金は事業完了後の後払い制です。そのため、「先に払ってからもらう」ことになります。また、補助金や助成金自体受けられないこともあるので、良いことばかりではないのです。また、一般に補助率は100%ではなく、事業に必要な資金全額がもらえるわけではありません。そのため、自己負担分と入金までの資金繰りは、金融機関からの融資制度を利用するなどの対策が必要になります。

6. まとめ

 補助金・助成金のメリット・デメリットをまとめると次のようになります。

【メリット】

・返済不要である

・収益と同様の効果が得られる

・事業計画がより明確になる

・就業規則や人事評価制度などの社内整備が進む

・採択企業として、社外へのPR効果が期待できる

【デメリット】

・申請が必要(社内整備や書類の準備が必要)

・申請しても必ず採択されるとは限らない

・まず先払い(入金が1年以上先になることもある)

・全額交付されるわけではない(自己負担部分がある)

・即時の事業実施や設備導入などはできない(導入時期に余裕が必要)